日記 3月6日
記憶が薄れつつある。それはさみしいので今のうちにイタリアの感想を綴る。
イタリア旅行した。モスクワ乗換で。
○ロシア、近所じゃなかった
モスクワってこんなに遠いのか。もっと北京くらい近所だと思っていたから、10時間のフライトですと言われて度肝を抜かれた。自分の無知が距離を凌駕していた。そんなに長時間空の上。気が狂わないだろうか。
悪いことに席が真ん中。トイレへの障壁。席に到着するや南無三、隣はロシアの大男だった。把瑠都くらい体がデカい。（以下仮名把瑠都氏。）幸い温厚そうな顔立ち。微笑み合う。あぁ10時間お世話になります。座るなり把瑠都は牛乳パックを取り出し、ガッッ！！と飲んだ。待てそれ日本酒じゃん。いきなりロシア人の飲酒ポテンシャルを見せつけられ静かにおののく。これから10時間、樽くらい余裕で干すんじゃないか。（その後も彼のドリンクサービスはワイン一択だった）
始まったフライトは意外にも平穏に過ぎた。些細な揺れですら小パニックに陥り、傍らの友人の手をひしと握った台湾旅行が懐かしい。飛行機は高度に達すると驚くほど静かに安定した。その平穏ぶりは頑固なほどで、「まさかモスクワに向かっているのなんて全然嘘で、成田上空でずっと停止しているんじゃないか？」とあらぬ疑念がよぎる。
今回学んだことは「飛行機とは 寝る 飲み物 食べるのループである」。こんなに寝れんのかというほど寸暇を見つけては寝るし、というか意識を失うし、気付くと「ビーフオアチキン？」が確実に接近しているのである。食っちゃ寝食っちゃ寝で海を越え外国に運ばれる私たち。無力のくせに基本的欲求は無条件に満たされる。普段自分の生活している上空で500人くらいの人々が寝たりごはん食べたりトイレしたり映画まで見ていたりする。不思議だ。空間の使い方が半端ない。人類すごいなぁ。
○尿意心理戦
そして尿意。存外彼はなりを潜めてくれた。普段隙あらばトイレに行きトイレマンの名を欲しいままにすること10年の私が、10時間のフライトでトイレたったの2回。すごい。どこにいっちゃったの尿意さん。でもまぁ隣がロシアの大男だったからね。この把瑠都さんにどいていただくのが心苦しくてトイレは最低限だった、というのが正直な実情だ。
把瑠都と私のトイレをめぐる心理戦（私からの一方向）に起きている時間は費やされた。把瑠都がテーブルを出し、その上に突っ伏して眠りだしたとき私は絶望した。ああああああああああトイレ行きルート封鎖されましたああああああ！！！！！！完全に封鎖されました！！！レインボーブリッジよりもはるかに容易く封鎖を許す飛行機の激セマ空間。
もちろん把瑠都は紳士なので、私がトイレに行くと言えば快く立ってくださる。嫌な顔一つしない。
むくりと彼が目覚めた瞬間を私は逃さなかった。
Sorry, I go to restroom.
OK,
彼は微笑みながら席を立ってくれた。ふうーーーあぶね、、トイレに並ぶ。安堵しながら席を振り返ると、
把瑠都立ったまんま待ってる。
っっっまじか！！！！！！！！！なんというプレッシャー。早く帰らねば。ああああ早くしないとバス停のトトロ並みに待ってるよまずいまずい。
そそくさと戻ったのだった。
このマイファーストトイレ体験により把瑠都氏をむやみに立たせるわけにいかないと決意した私は、確実に老廃物が体内に蓄積されていくのをリアタイで感じつつもトイレを2回で済ませたのである。
もう尻がなくなったと確信したころモスクワに到着。生きてる…！！飛行機って安全な乗り物なんだなぁ。
○マイファーストビートルズ体験
飛行機の降り方が完全に初来日したビートルズだった。
飛行機がバーン！と開いて生身の私たちがはしご的な階段を降りて行くのだ。初めてのロシアの大地。待って寒い。寒気に顔面をビンタされた。やっべーーーーーロシアやっぱり寒い！！！！寒い通り越して氷！！！これは南を目指したくもなるわ。もうユーリプリセツキーどころではない。
降りたところにバスがスタンバイしている。空港遠いな。すでに混んでいる様子だが、もう1秒もロシアの大地に留まれない。凍る。ジャパニーズ満員電車耐性を遺憾なく発揮し、躊躇なく乗り込む。ロストバゲッジ対策の手荷物を抱えながらぎゅうぎゅうのバスああんシベリア抑留ぅ。。。正直この度で一番辛かった。
○東京B少年イン・モスクワ
おそロシアに着いた。案外普通。こじんまりとした空港だ。しかしロシア語、読めない。アルファベットと思って油断したら( ´Д`)この口みたいのが混入する。BほえぇんNみたいな字の並びで突如とろける。なんなん。そのよだれ口わからん。急によだれ口で思考が中断される。上坂すみれってすぎょい。。。
友人がトイレに並んだので、スマホで東京B少年のCosmic Melodyを鑑賞する。ああかわいい。
ロシア人「Excuse me. Do you know how to connect the internet?」
私「Sorry, I don’t know.」
ごめん、これYoutubeじゃない。我が家のテレビをスマホでビデオ撮影した原始的なやつなんだ。
このオフライン視聴可能東京B少年に旅行中何度も救われることになることを、私はまだ知らなかった。
つづく
