その人と一緒の時、私はとにかく歩く運命にあった。
今日は体調がいまいちだから
洒落た服にパンプスだから
優雅にしてたいから
歩かないよ
と決意しても気づけば、私は長いこと歩く一日を過ごすのだった。
昨日は気分・体調ともに「遠出はしないからね」と釘を刺すべき調子だった。
それなのに私は城の周りの草むらの階段を必死で登っていた。砂利と草の鬱蒼とした傾斜に大きな石が埋まっている、階段とも呼べない代物だった。
おろしたてのスカートも、履き慣れてるとは言えあのパンプスも、まさかこれ程大股で石段を登るとは思っていなかっただろう。
もっとたちの悪いのは、そんな道を歩くことになるのは私自身のせいであることも多いこと。
こちらの道だと思う、と進んでそちらが山道だった。
この店はうるさそうだからやめよう、と街を彷徨う。
じたばたせずに佇むことも簡単だと思う。
それでももっと良くなるはず、と期待する気持ちを引っ込められない。
最終的に一日の終わりにはくたびれ果ててるのだけど、共にいると旅になるように出来ているのだと思う。