人々の思い出が空気中に滞留してる。
毎日同じ改札を通る
そこは私がデートの帰り道に最後のひと逢瀬粘るところ
何度も次の約束やらハグやら別れを交わした場所
そして毎日会社やだなと思いながら決まった時間に通る場所
友達と爽やかに別れる場所
私たちは皆、「家に帰る」ことのプロ。
帰り道の足取りは確固たるものだ。
慣れた改札。
ここで乗ればうまく乗り継げるドア。
回送電車にうっかり乗らない。
帰る前にダメ元でする連絡。
自分んちに帰るのに自信がない人はいない。
どんなに未熟でも、皆帰り道をたどるプロである。
帰り道に思うこと。満員電車のやり過ごし方。今日一日へのよもやも。
毎日通る場所には思い出がふよふよ漂ってる。雲のようなそれはとどまり続ける。