カレンダーを見つめながら歯を磨いていたら、泣きたい気持ちが私の中をエレベーターみたいに高速で突き上がってきて あ、これ湯船浸かりながらわんわん泣いちゃおう。と決めた。
泣いてる自分の顔が見たくないから、歯を磨きつつも手際よく眼鏡を外す。
彼氏が赴任で遠くに行ってしまうかもしれない。
もし赴任が決まったら、一緒に過ごせる土日はあと1回しかない。
昨日は残り2回のうちの1回だったということになる。
完全に絶望に包まれながらシャンプーをする。
猫だったら耳が生えてる部分がかゆいから重点的に。
今日は一日中料理やら掃除やらしていたから体もしっかり洗う。
鏡を見ると鼻の毛穴が目に付いた。
せっかく週末だしピーリングもするか。
生真面目にタオルで一回顔を拭き、それから塗りこむ。
流すまでの定着時間を利用して湯船に浸かる。パラパラと鼻をこすって角質を落としているうちに、泣きたい気持ちが途切れていたことに気づいた。
生活の中で感情に集中するのは難しい。
はたと湯船に浸かりあたたまる。
私と彼氏は一回も旅行に行けないままに、彼氏は赴任にさらわれてしまう。かもしれない。
くやしい。遠い土地よ、私より先に彼を奪うなよ。
彼のいない来週の土日を利用して髪を切りに行こうか。いったいいつ予約の電話をしようかしら。
彼が誘ってくれた日に先に別の予定を入れてしまった自分がうらめしい。
なんて間抜けなんだろう。
あっさり6月に連れていかれてしまうよ。
気が重い。彼氏が行ってしまうのは嫌だから5月の残りを消化するのが怖い。
23日に発売するKing&Princeのデビューシングル シンデレラガールを買うことしか楽しみがない。
早く生活的シンデレラであるわたくしを迎えにきてくれ。なにごとも悲しくない6月よ。