藤井風の新しいアルバム
「LOVE ALL SERVE ALL」が出た。
聴き終わった新鮮な感想をここに残しておく。
アルバムに入った新曲のみ抜粋で。
▲目開けてもええんやで
♪まつり
日常に祭を溶け込ます人々のしぶとさを称えた曲。
『毎日いとしき何かのまつり』
言い得て妙で聴くたび少し笑いたくなる。
今日も私は好きな人のいとしきところを再発見して小躍り。飄々と生き抜いていこうというエール。
♪へでもねーわ LASA edit.
今回歌詞カード見て初めて「野菜ばっかの生活しょんのに腹が立つことちょっくらあんのは」ってリアルにカリカリしてんの気づいたわ。たまにはお肉も食べてみてほしい。(風氏はヴィーガンらしい。)
♪やば。
シンプルな言葉で最大限踊る歌声。星の下、街灯の下、踊るペアダンサーのシルエットが脳裏に浮かぶ。ちょっといいお酒がくれる心地よい酩酊のような曲。
♪ガーデン
秘密の友達と庭の隅に座り込んで内緒話してるような。口溶けの良いチョコみたいな声で語る彼は手を引いて私に色んな花を見せてくれる。ゴスペルで向かう大団円、裸足で歌う彼を祝福するようにたくさんの鳥たちが飛んでいる。
♪damn
前アルバム収録曲「さよならべいべ」の主人公の上京後。
もしくは「さよならべいべ」で置いてかれた側が彼を追って都会に来て「いつの間にか私もここであぐらをかけるようになったな」とサバイブした話。
ライブでは風氏にスタンドマイクで歌ってほしい。
♪ロンリーラプソディ
辛気臭いイントロから意外にも吹っ切れてた顔で進んでくメロディー。
「同じ時 生きてても なぜ誰もいないの 泣いてやろう… 笑ったろう…」
この部分の寂しさにぎょっと面食らう。
♪それでは、
イントロのピアノですぐに冷たい孤独に放り込まれる。心細い広いグレーの空。打ちっぱなしのコンクリートに写る影は輪郭がきっぱりしていて綺麗。
消滅に向けて彷徨う魂の最後の記憶。祈り。
前アルバム収録「帰ろう」では生の旅を終える時の開放感を祝福していた向きがあったけれど、この曲は逆に静かな未練と寂しさを肯定しているように思えた。
長編映画のエンドロールのような、達成感と寂寥感がないまぜになった気持ちになる。
前作「HELP EVER HURT NEVER」よりグッと色彩豊かになっていた。うらぶれて灰色だった世界にあたたかな光や鮮やかな色がなだれ込んできた。歌声はよく踊るようになっていて、あ、今微笑んでいるんだなぁ、という感触も増えた。
リスニングパーティーの時からこれは名作だ!と思っていた期待にしっかり応えてくれた。前作より好き。
ライブが楽しみです。