もしも私がDIVAであったなら、このありがちな心変わりについて軽快なリズムに乗せて小洒落た歌を作っていた。ラッパーなんかを客演させてフィーチャリングなんたらなアッパーダンスチューンに乗せてこの別れについて適当に歌う。
ありもしない仮定を総動員させても追いつかない。
長年の情熱も盲信も自制もすべて超えて、ただただ終わりがやってきた。
ぱたっと簡単に閉じた。
実によく乾いてあっけらかんとしている。
人が人を思い通りにさせられると思うなよ。
プロジェクションマッピングみたく色んな夢とか浪漫を映してきゃっきゃしてた。
乗り遅れた船から振り落とされふてくされてたところに落ちてきた彗星。赤く燃えてて誕生の瞬間に今度こそ間に合った。私の薔薇、これからどんどん美しく大輪の花を咲かすだろう。
波乱もあった、他人のことにここまで胸が苦しくなることがあるのかと思い知った。
くじけたときに明るい楽団がいた。ずっとそこは夏みたいだった。私はそこに甘えた。
呪いのようにも聴こえる愛の歌を弾いたピアノ。
その伏目に永遠を感じた、いつも間違いなく。
それでも近所の通行人Aみたいなのはタチが悪くて、人懐っこくていつまでもつまらないしゃべりを続けては私を引き止め、安心させた。
ここはそういう世界であるから、常に新しくてまぶしい星がどんどん生まれた。
その度にそっちへふらふら引き寄せられた。
でもあの花園だけは私の一番。あそこが何よりも美しい、素晴らしい、そう思えることが私の価値観の良い席に陣取ってる。
ここはそういう世界であるから、と思っていたところにもう一つ高い空が実はあったらしい。
ある日突然空がめくれて、あれなんだろうあのもっと遠い星は。
嵐のように知らない煌めきが吹き荒れて、しがみつく間も無く喜んでぶっ飛ばされてた。オズの魔法使いって家ごと飛んでってたっけ。
これをありきたりな痴話話じゃなくて神話みたいにしたかったけど、普通に淡白だった。
飽きたって言ったらそれまでだけど、期限が切れた。望みを託しすぎた。憧れは理想を連れてきてそれはやがて要求になった。
でもドールじゃないから人は思い通りにならないよ。大好きで愛してた花園に何も思わなくなる日が来るなんて。もう肥料にもなれない。
思い出す、船から振り落とされてから急にあの人たちが他人みたく知らない人の顔をして見えたあの瞬間。
あぁあとちょっとで大団円だったのに。
さらわれながら喜んで逆方向に走って行ったから、たぶんもう戻らない。
意外にあの時助けてくれた楽団を、今でも好きだと思ってる。